- このページでは、日立電鉄に在籍する車両形式について、簡単な解説と車体の内外装データについてまとめてあります。なにぶん素人仕事ですので、お見苦しい点や誤記はご容赦下さい。
- 各形式の車体データ一覧では、現行車両(休車扱いの車両を含む)に取付けてある車内銘板、室内の配色、妻窓の形状についてまとめました。画像は共用しているものがあります(座席色や「京王H3+帝国S36」等)。なお、座席色は背ズリ部分の色です。座面は全車共通に使い回しをしているみたいで、背ズリの色と異なるケースがあります。また、凡例は次のとおりです。
- メーカー… 京王=京王重機、帝国=帝国車輌、川車=川崎車輌、近車=近畿車輛、日立=日立製作所、富士=富士重工、日車=日本車両
- 年号その他… H=平成、S=昭和、欠=欠落(意図的に撤去したものもあるが、理由は不明)
- 室内色… 薄緑=薄緑色、白系=白色地に薄緑のメッシュ模様
- 長イス… 赤=赤色モケット、茶=茶色(朱色?)モケット
- 短イス… グレー=灰色モケット、赤=赤色モケット。(2000形・2200形は貫通路部、3000形は両車端部)
- 妻窓… 1段=1段下降窓、2段=上段固定・下段上昇窓(側窓と同様)
- 片運転台の制御電動車で、2000形の基本番代である。TC車と共に、1991(平成3)年から1995(平成6)年にかけて7両が入線した。種車は他のMC車、TC車とも営団地下鉄銀座線で活躍した2000形。電装機器はパンタグラフと主制御器のみで、基本的には電動発電機(MG)と電動空気圧縮機(CP)を取付けているTC車と固定編成を組むが、過去には、MC2車とペアを組んだ実績がある。運転台の向きは、2000形、2200形共通で奇数車が鮎川方、偶数車が常北太田方である。
- 2000形、2200形とも入線時はツーマン運転仕様だったが、1996(平成8)年の全線ワンマン化に合わせて、全車両をワンマン運転仕様とした。改造は久慈浜工場で施工され、運転席側正面窓上部にワンマン表示灯を追設したほか、前位の運転台でのドア扱いを可能としている。更に、2002(平成14)年9〜12月にかけて全列車2両化のためのドア回路改造工事や運転台回りの小改良工事(進行方向1両目の最前部ドアと最後部ドアだけを開閉させるスイッチの追設等)が、久慈浜工場で順次追施工された。なお、MC2001+TC2212、MC2005、MC2008、MC2009はドア回路改造未施工車である。
- MC2001〜2003は1991(平成3)年度の入線で、2000形の最古参グループである。MC2001は全列車2両化工事の対象とならずにTC2212と共に2002(平成14)年11月限りで営業運転を退き、そのまま休車扱いとなった。MC2002は2002(平成14)年11月からボディー広告車(宝酒造)となっており、2003(平成15)年5月に若干のデザイン変更を施している(同年3月に開催された金砂大祭礼向けのロゴを撤去。TC2211も同様)。MC2003は外観がオリジナルカラーのまま現在に至るが、検査切れの2004(平成16)年5月に休車となった。
- MC2004は1992(平成4)年度の入線で、この編成の登場により、旧形2両固定編成は静岡鉄道からの譲受車を除き引退した。当初は2両固定編成であったが、後に検査時等のピンチヒッターとして3両編成で活躍した。外観はオリジナルカラーのままである。
- MC2006は1992(平成4)年度の入線で、登場間もなく3両編成となって旧形4両固定編成を置換えたが、3両運用消滅後は2両固定編成に戻った。1999(平成11)年度下期に「呑電日立号」の予備編成として車内を改装し、MC2005と固定編成を組んだが、この措置は半年程で解消し、廃止まで所定の固定編成相手のTC2215と共にボディー広告車(サッポロビール)として活躍した。
- MC2007は1993(平成5)年度に2両固定編成として入線したが、後にMC2008が入線した際、3両固定編成となった。3両運用消滅後は2両固定編成に戻り、2002(平成14)年9月から2004(平成16)年2月までボディー広告車(ゴルフランド日立南店)となっていた。なお、2003(平成15)年11月に全検中のMC2009の代用車として車内を改装し(ボディー広告は変更なし)、同年12月から2004(平成16)年2月までMC2008と固定編成を組んで「呑電日立号」に充当されていた。
- MC2010は1994(平成6)年度に2000形最終編成として入線した。なお、当初はTC2217の運用開始が遅れたため、わずかな期間ではあったが、MC2009と2両固定編成を組んだ実績がある。外観はオリジナルカラーのままである。最後の重要部検査を終えた2004年4月以降は廃止まで、MC3026と固定編成を組んで予備車として常北太田駅に常駐していた。
- 2000形(MC1)車体データ一覧 銘板(プレート)取付け位置は客室内最前部(運転席背面)上部
- 片運転台の制御電動車で、1992(平成4)年から1995(平成6)年にかけて3両が入線した。パンタグラフと主制御器に加え、MG・CPも装備しているので単独で自走できるが、基本番代との区分はなく入線順に機械的に番号を付している。元々は3両増結用として投入され、下記の編成を組んでいた(常時2本が3両編成に充当され、他の1本はバラしてあった)。ちなみに、MC2008入線当初は、乗客の減少により3両編成はMC2005+TC2215+MC2006の1本だけであったが、旧静岡鉄道編成車を置換えた際に2両固定編成では輸送力不足(静岡鉄道編成の車体長=1両18.5m。2000形の車体長=1両16m。)となり、急きょ3両編成を2本に増やして対応した。なお、1997(平成9)年度に3両運用が消滅すると、その後は予備車となり出番が激減した。
(常時)2005+2215+2006 →常北太田
(常時)2007+2216+2008
(予備)2009+2213+2004
1998(平成10)年度上期にMC2008+MC2009が「ビア電日立号」(冬季は「呑電日立号」)の本編成に、翌年度下期にMC2005が前述のMC2006と組んで「呑電日立号」の予備編成に改造された。改造内用は飲料供給カウンターの設置、車内簡易テーブルの取付け、サービス機器電源用配線の追設等で、このほかボディー広告としてサッポロビール等のステッカーが貼られた。なお、MC2009は2000(平成12)年度以降にカラオケ設備が追設されている。
- MC2005は1992(平成4)年度の入線後は前述の経緯をたどったが、2000(平成12)年に一般車に戻されたうえ予備車となり、更に2002(平成14)年10月以降は休車扱いとなっていた。なお、予備車時代の一時期にMC3022と2両固定編成を組んでいたことがある。
- MC2008・2009はいずれも1994(平成6)年度の入線で、MC2009は入線当初MC2010と2両固定編成を組んだ。1998(平成10)年夏以降、夏季は「ビア電日立号」、冬季は「呑電日立号」として活躍していたが、2003(平成15)年12月から2004(平成16)年2月までの「呑電日立号」は、MC2009の全般検査の都合によりMC2008+MC2007の変則編成で運行していた。その後はMC2008+MC2009のペアに戻り、大甕に常駐しながら2005(平成17)年1月まで「ビア電(呑電)日立号」として営業していたが、同年3月の貸切運行を最後に客扱いを終了し、同下旬には大甕駅を離れ常北太田駅留置となった。
- 2000形(MC2)車体データ一覧 銘板(プレート)取付け位置は客室内最前部(運転席背面)上部
- 片運転台の制御車で、MC1車と共に、1991(平成3)年から1995(平成6)年にかけて7両が入線した。営団時代は全車共制御電動車であったが、改造に際して主制御器等を撤去した。MG・CPを装備しており、通常はMC1車と固定編成を組むが、検査入場等でMC1車が不足した時には、MC3車とペアを組んだ実績がある。なお、番号は固定編成相手のMC1車を基本に付しているので、入線順序とは一致しない。
- TC2211・2212・2214は1991(平成3)年度の入線である。TC2211は1996(平成8)年度にフランジ塗油器を取付け、更に2002(平成14)年10月からは固定編成相手のMC2002と共にボディー広告車(宝酒造)となっていた。TC2212は1999(平成11)年度にフランジ塗油器を追設したが、MC1の項で記したとおり廃止まで休車扱いであった。TC2214は、TC2212から撤去したフランジ塗油器を2003(平成15)年5月に移設して、オリジナルカラーのまま活躍を続けてきたが、2004(平成16)年5月に相棒のMC2003と共に休車となった。
- TC2213・2215は1992(平成4)年度の入線で、いずれも入線当初は3両固定編成に組めるよう、前面に幌枠が取付けられていた(3両固定編成時の相手はMC2の項を参照)。しかし、3両運用消滅後はその構造のデメリット(主に保守面)が問題となり、いずれも2002(平成14)年10月までに撤去された(TC2215の前面幌枠はMC3026へ移設)。TC2213はオリジナルカラーで、TC2215は2002(平成14)年5月から廃止までボディー広告車(サッポロビール)となって活躍した。
- TC2216は1993(平成5)年度の入線で、当初は2両編成で運用されたが、MC2の項で記したとおり、旧静岡鉄道編成車を置換えた直後に3両編成となった。前面幌枠は入線当初から取付けていたが、他のTC車と同様、2002(平成14)年10月までに撤去されている。固定編成相手のMC2007がボディー広告車となってからもオリジナルカラーを保っていたが、2003(平成15)年3月に開催された「磯出大祭礼」に合せて、同月から約2ヶ月間、大祭礼ロゴ入りのボディー広告車(日立水戸エンジニアリング)となっていた。
- TC2217は1994(平成6)年度の入線で、MC2008と暫定的に固定編成を組んでいたが、営業運転に入った時期は、正式な固定編成相手であるMC2010が、MC2009とのペアを解消してからと思われる。オリジナルカラーのまま活躍していたが、最後の重要部検査中の2004(平成16)年4月に台車の不具合が発見されると、MC2010とのペアを解かれてそのまま休車となり、廃止を迎えた。
- 2200形(TC)車体データ一覧 銘板(プレート)取付け位置は客室内最前部(運転席背面)上部
- 両運転台の制御電動車で、1991(平成4)年から1997(平成9)年にかけて7両が入線した。MC2と同じ電装機器を有し、当然自走できる。3両編成の予備増結用(MC2009が入線するまでの暫定措置)となっていたMC3021には入線当初から常北太田方に幌枠を取付けていた。また、MC1車検査入場時の代替用となったMC3022は2000(平成12)年頃になって鮎川方に幌枠を取付けている。また、MC3027は「はぎ屋旅館」のボディー広告車となっていた。
なお、MC3車は当初9両が入線予定であったが、諸事情により7両の入線にとどまり、残る2両は銚子電鉄の1000形となってデビューしている。
- 2002(平成14)年9〜11月にかけて、全列車2両化のためのドア回路改造および2両固定化準備工事が久慈浜工場で順次施工され、同年10月までにMC3023・MC3025・MC3026・MC3027の計4両に前面幌枠が追設され、全列車の2両編成化後も活躍を続けている。なお、ドア回路未改造の3両は、MC3021が2002(平成14)年10月限りで、MC3022とMC3024が2002(平成14)年11月限りで、MC3026+MC3027が2004(平成16)年3月限りで営業運転を終了し、休車扱いとなった。廃止後、MC3023以外は、2006(平成18)年6月から7月にかけて久慈浜駅及び常北太田駅構内で解体された。
- MC3021は1992(平成4)年度に3000形として初めて入線した。入線当初より3両編成への増結用として常北太田方に前面幌枠が取付けられており、MC2009のピンチヒッターとしてMC2004+TC2213の鮎川方へ増結した。3両運用消滅後はもっぱら単行で運用されていたが、MC2007が故障した時に、数日間だけTC2216と2両固定編成を組んだことがある。2002(平成14)年度にはほとんど予備車となって、前述のとおり廃止を待たずに休車となった。
- MC3022〜3024は1993(平成5)年度に入線し、年度末には単行運用がほとんど3000形となった。MC3022は検査時の2両固定編成不足に対応するため、2000(平成12)年度に鮎川方に前面幌枠を追設してMC2005と2両固定編成を組んだが、これは短期間で終り、2002年度に入るとMC3021と共にほとんど予備車となって、全列車2両化後は休車となった。MC3023は2002(平成14)年11月限りで定期単行運用から一旦退いたが、2003(平成15)年1月に旧形電車塗色(オレンジとクリームのツートンカラー)へ塗り替えられ、同年2月にMC3025と2両固定編成化された(鮎川方がMC3023)。現在は日立市内の個人宅(模型店)に保存されている。MC3024は入線以来オリジナルの外観を守って活躍を続けてきたが、末期は休車となった。
- MC3025は1995(平成7)年度に入線した。単行運転時代には大きな改造を受けなかったが、全列車2両化改造として鮎川方に前面幌枠を追設したほか、2003(平成15)年1月に旧形電車塗色へ塗り替えられてMC3023と2両固定編成化された。廃止後に売却の話が持ち上がり、2006(平成18)年春に久慈浜工場で外観を整備したものの、結局売却されなかった。
- MC3026は1996(平成8)年度に入線し、これによりモハ10(塗油器設置車)の限定運用を除いて単行運用は3000形で充足された。そのモハ10も、同年度のATS設置と全線ワンマン化を前に定期運用を外れ、旧形車は営業運転から一掃された(旧形車の除籍は翌年度)。他の3000形と同じく2002(平成14)年11月限りで定期単行運用から一旦退いたが、同年12月からはMC3027と2両固定編成化された(鮎川方がMC3026)。なお、2002(平成14)年7月に側面に国鉄サイズ(600mm×150mm)対応のサボ受を取付けており、同月から翌年4月まで国鉄タイプの横サボ(試作品)を掲出していた。2004(平成16)年3月に一旦休車となった後、同年4月からMC2010とペアを組んで営業運転に復帰した。最後は予備車として常北太田に常駐していた。
- MC3027は1997(平成9)年度に入線し、この車両の増備をもって旧形車の置換えは完了した。2002(平成14)年5月に日立電鉄として初めてのボディー広告電車(はぎや旅館)となり、更に同年10月に鮎川方へ前面幌枠を追設、12月にMC3026と固定編成化された。なお、2003(平成15)年5月に部品の一部を休車中のMC3022のものと振替えている。末期は休車となっていた。
- 3000形車体データ一覧 銘板(プレート)取付け位置は客室内鮎川方および常北太田方(いずれも運転席背面)上部
※室内色は全車薄緑