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日立電鉄線ファン

過去の廃止関連報道　2005/04/03　鉄道事業廃止対応（このページの文章はUP当時のものです）

　2005年4月1日、日立電鉄線は開業以来77年の歴史に幕を下しました（最終運行日は2005年3月31日）。このページでは、日立電鉄線の廃止問題および廃止後の情報について、原則として報道または公式HP上の発表の範囲でお知らせします。なお、車両の動きや今後のイベント予定等も間接的に関わってくることと予想されますが、当HPでは事前告知はしませんので悪しからずご了承下さい。
　また、日立電鉄線にこれから訪れるファンの皆様方へのお願いや、注意して頂きたい点もこのページでお知らせしております。
　

お願いと注意点

廃止関連報道

過去の関連報道１（2003/10/23〜2004/03/31付） 　　過去の関連報道２（2004/04/01付〜2004/10/22） 　　過去の関連報道３（2004/10/23付〜2005/04/01付） 　　過去の廃止関連報道（2005/04/02付〜2006/06/24付）

お願いと注意点

• 撮影マナー等について　…　撮影にあたっては、危険な箇所へは立ち入らない、地元の方々に迷惑をかけないなど常識的なマナーを守り、係員の指示や制止があった場合には必ず従って下さい。
• 係員への問合せについて　…　廃止後の動向について、公式HPや報道等では問合せ先の部署を公表しておりません。現段階では当サイトでも同様の扱いをします。（物品販売や施設譲渡に関する問い合わせについては、公式HP等をご覧下さい。）

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廃止後の動向に関する報道など　廃止前の報道は過去の報道１、過去の報道２、過去の報道３をご覧下さい。

　以下の文章は、2005/04/02付以降の、各メディアの記事および団体の公式発表等を部分的に引用の上、要約したものです。日付は各メディアの発行日（テレビ・ラジオについては放送日）またはプレスリリースの発表日（茨城県知事の定例記者会見のみはこのページの更新日）を表します。なお、新聞各紙の引用元は、全国版、地方版の別を一部省略しております。

• 2006/06/24　東京新聞茨城版　…「常陸太田で日立電鉄展　鉄道部品32点を初公開」より
  • 日立電鉄線の鉄道部品を集めた企画展が、常陸太田市西二町の市郷土資料館で開かれ、地元の人やファンを楽しませている。7月17日まで。展示してあるのは32点。廃線後に寄贈を受けた市が、初めて公開した。会場には、駅名板や自動券売機といった乗客になじみの深い品々のほか、運転席に設置されていた速度計やブレーキ圧力計、車両前面のヘッドライトなども並んでいる。訪れた人は、昨年3月末までの77年の歴史を懐かしむように、熱心に見入っていた。
• 2006/06/14　読売新聞茨城県東・水戸版　…「よみがえる日立電鉄　常陸太田」より
  • 西二町の市郷土資料館で、昨年3月で廃線になった「日立電鉄関係資料展」が行われている。常北太田駅舎にかけられていた駅名の看板や自動券売機など利用者の目になじんだものから、信号や分岐器の連動装置を遠隔操作できる「CTC制御盤」といった機器まで32点が展示されている。7月17日まで。
• 2006/06/12　茨城新聞　…「歴史後世に残そう　日立電鉄線　常陸太田で資料展」より
  • 昨年3月末で廃止された日立電鉄線の駅名板や運転台パネルなど、鉄道関係資料32点を集めた「日立電鉄関係資料展」が7月17日まで、常陸太田市郷土資料館で開かれている。これらの資料は、77年間にわたり地域経済や教育文化の発展を支えた電鉄線の歴史を後世に伝えようと、廃止後一年間、同市と電鉄側の間で保存策を話し合い、同市に寄贈された。常北太田駅や小沢駅、常陸岡田駅に掲げられていた駅名板、自動券売機、運賃表、各種切符、速度計やブレーキ圧力計が並ぶ電車の運転台パネル、ヘッドライト、イベント列車として親しまれた「ビア電」や「呑電」のヘッドマークなどが陳列されている。中でも、大甕駅の運行指令室に配置されていた列車集中制御装置（CTC）の制御板は、1966年に国内で初めて単線に導入された貴重なもの。通常は一般市民の目に触れない資料だけに、鉄道マニアにも珍しいという。同市教育委員会では「鉄道関係資料は一度散逸すると収集が難しい。当市になじみの深い歴史資料として大切に保存したい」と話している。入場無料。月曜休館。
• 2006/06/08　毎日新聞茨城版　…「日立電鉄関係資料展：「ちん電」資料、一堂に−−常陸太田市郷土資料館」より
  • 「ちん電」の愛称で親しまれ、昨年3月末に77年の歴史に幕を閉じた日立電鉄線の資料を集めた「日立電鉄関係資料展」が、常陸太田市西二町の同市郷土資料館で開かれている。7月17日まで。入場無料。日立電鉄社から同市に、駅名板、運賃表、ヘッドライトなどが寄贈されており、今回はそれらを一堂に紹介した。会場には常北太田駅舎入り口上部に掲げられていた「駅名板」、各種イベント列車に取り付けられた「ヘッドマーク」、CTC制御盤、レール、夜間ポイント標識など32種類の貴重な鉄道資料が展示されている。
• 2006/05/16　日立電鉄株式会社用地管理部長　…「ご近隣の皆様へ　日立電鉄の車体解体工事について」より全文掲載
  • 　このたび、日立電鉄（株）の廃線に伴い、車両の解体工事をさせていただくにあたり、皆様方には騒音等の　ご迷惑をお掛けし、大変申し訳け御座いません。
    　また、電車の車両には断熱材として、アスベストをごく微量含んだアンダーシールという物が使われておりますが、石油系のピッチのような物で固形化されており、非飛散性の物で、飛散しないのでご心配はいりません。
    （常陸太田市の環境保全課に特定粉じん排出等作業実施届出書の提出にも伺っており、水戸労働基準監督署にも作業計画書の提出を行っております。）
    　その上、弊社では更に、飛散性のアスベストの除去工事と全く同じ方法で、車両をビニールシートで完全に密閉養生をして　間違っても飛散しないように念には念を入れて、工事を行っておりますので、どうぞご安心下さい。
    　現在、6月末迄には工事を終わらせるべく、安全に十分留意しながら、全力で工事を行っておりますので、何卒　もうしばらくの間、ご協力の程を　宜しくお願い申し上げます。

    発注者	：	日立電鉄株式会社　用地管理部長　（氏名省略）
    施工業者	：	羽田興産株式会社　現場責任者　（電話番号及び氏名省略）
    除去工事	：	株式会社サンクリーン　営業第一部長　（氏名省略）

    （※管理人注　…常北太田駅周辺で見かけた告知看板を原文のまま掲載しました。日付は「平成18年5月吉日」となっていましたが、正確な掲出日は不明です。なお、トラブル防止のため、各業者の電話番号及び氏名は、当サイトでは伏せます。）
• 2006/04/15　毎日新聞茨城版　…「散歩道：ちん電さよなら写真・記録展−−常陸太田」より
  • 昨年3月末に「ちん電」こと日立電鉄線が、開業77年の歴史に幕を下ろして1年。これを記念した「さよなら　ちん電1周年〜写真、記録資料展」が、常陸太田市中城町の市生涯学習センターで開かれている。21日まで。
  • ちん電のファン5人が撮影した写真や記録資料など約125点が展示されている。同展実行委の川上千尋代表ら5人が、廃線になる3日前から乗り込んで撮影した写真などで、四季折々のちん電を取り巻く様子が紹介されている。最終日の車中で涙を流す男子高校生や最終電車の姿などもあり、川上代表は「さまざまな分野で世話になった日立電鉄線に感謝するとともに、77年間走ったちん電をしのび企画した」と話している。
• 2006/04/05　朝日新聞茨城版　…「鹿島鉄道　どこへ？（5）完　さまざまな再生案」より
  • 「鉄道はいったん廃止されたら復活はむずかしい。なんとしてでも残さないと」。昨年4月に廃止された日立電鉄の存続活動にあたった西村ミチ江さん（57）は運動を振り返る。西村さんは当時の「日立電鉄線を存続させる市民フォーラム」座長。集会を開いたり、沿線市長へ要望したりと飛び回った。行政だけでは駄目だと、同フォーラムは存続のための株式会社設立を検討、資本金1千万円を目指し、1株5万円の市民株主を募った。しかし、結局は不発に終わった。「市民全体の運動に出来なかったのが一番の原因。日立の企業城下町という難しさもあった。それに、行政も、企業も、本当のところでは（存続させる）やる気がなかったと思う」と話す。「鹿鉄の場合は自治体が一致して存続を望むなど日立と条件が違う。でも、再生に向けては高校生まかせでなく、沿線住民や市民が理解して、1回でも2回でも鹿鉄に乗ること」とエールを送る。（−以下略−）
• 2006/04/03　茨城県HP（2/3の知事定例記者会見における発言要旨）　…「鹿島鉄道対策について」より全文掲載
  • 記者：鹿島鉄道の件なのですが、日立電鉄のケースを考えると、日立電鉄が1年ちょっと前に廃止を決めていろいろ動きがありましたが、鹿島鉄道も、そういう意味では、もうそろそろ、残すかとか、公的支援を継続するかとか、いろいろな話が出てくるかと思うのですが、知事としては、今の段階でどのようなこととか、こういうことがあれば公的資金の導入はやめますという判断をされるかとかあればお伺いしたいのですが。
    知事：「かしてつ応援団」という利用者の活動も盛んになってきているようですが、我々としては、そういった動きを受けて、まず地元がどう考えるのか、地元としてあの鉄道については極めて大切なものだから、将来も考えて残さなくてはいけないというふうに考えがまとまるのか。あるいはまた、いろいろな手段が今出てきておりますから、例えば、線路も使い、道路も使うような手段だってあるし、いろいろなものがありますから、そういうバリエーションを考えていくのか、それとも廃止ということでもいいと考えるのか、そういうことについてまず地元として考えをまとめてもらうことが必要だろうと思っております。
    　もう一つは、日立電鉄の場合もそうだったのですが、利用という面から、必ずしも応援団がまとまっているのかというと、そうではなくて、気分的な応援団だけの人もかなり多いのですが、私どもとしては、利用者がもっと利用するという形で具体的な応援に取り組んでいただくことが必要なのではないかなと思っております。例えば、ある高校では、通学にオートバイの使用がその後認められて、オートバイ通学にかなり生徒が流れているとか、そういうことなどもありますから、それは、企業、学校、その他、一般の個々人の利用者も含めて、仮にあれを一旦廃止したら、将来なかなかまた同じようにつくることは難しいのだろうということであれば、そういう取り組みが求められるのではなかろうかなと思っております。日立電鉄線の場合にも、（存続を求める）高校生の何人かに私もお会いしましたが、5〜6人来て、利用者は1人か2人、あとはほとんど利用していないという状況でした。利用を増やすための具体の動きがもっともっと出てくるところまでいかないと、残すためにどこまで前向きなのかということについて、なかなか周りの方々が納得するまでにはいかないのではないのかなと思っております。
    　そういった最低2つのことがまず条件になってくるのだろうと思います。
• 2006/04/02　茨城新聞　…「バス3割車利用増　日立電鉄廃線から1年」より
  • 日立市と常陸太田市を結んだローカル線、日立電鉄線は1日、廃線になり1年が経過した。踏み切りはなくなり、線路や枕木のほとんどが撤去され、今ではホームや駅舎だけが残された。鉄道に替わり、グループ会社が路線バスを走らせるが、定期券利用者は電車の3割程度。通勤者はマイカーに乗り換え、通学者は親の送迎が増えた。だが、懸念された中学生の高校選択の幅は、ほとんど変わらない。鉄道廃止の影響を振り返った。
  • 代替バスを運行する日立電鉄交通サービスによると、太田駅−大甕みか駅などの定期券利用者は、2004年4月の日立電鉄線は通学532人、通勤700人だったが、廃止直後の05年4月のバスは通学286人、通勤70人。通勤利用者が激減した。時刻表通りに発着する電車の定時制に比べ、交通渋滞などに左右されるバス運行の不安定さが原因のようだ。だが、太田駅−大甕駅間は、朝のノンストップ急行バスでは電車に比べ数分しか遅れない。電鉄線が単線でホームの待ち時間があったためで、数分違いが浸透した結果、昨年9月の調査では通勤は90人に増えた。通学は230人に減少したが、関係者は「電鉄線時代も秋は通学定期が減る。自転車に乗り換える」と話す。
  • 「廃止の影響はほとんどないと判断している」。常陸太田市教委は、中学生の日立市方面への高校進学状況を語った。同市の中学生が日立市や高萩市など県北臨海部に進学したのは2003年度94人、04年度81人、05年度は107人。大甕駅に近い茨城キリスト教高は常陸太田市からの志願者、入学者ともここ数年、大きな変化はない。棚辺啓一事務長は「水戸方面に流れるかと思っていたが、変わらなかった」と話す。例年6、7人の入学者がいた旧鮎川駅近くの多賀高は廃止となった昨年、入学者はゼロだったが、今年は数人が入学する。根本聡教頭は「太田からの入学者は毎年、多くない」と話す。電鉄線廃止が、受験生に影響が少ない理由に関し、常陸太田市の高校関係者は「今は目的を持って高校を選ぶ時代。多少、不便になっても、中学生は行きたい高校を受験する」と分析する。3年になる太田中出身で、日立一高に通学する石川陽香さん（17）は「両親は反対したが、英語教育が充実しているので日立一に決めた」と話す。石川さんは廃線後、親の通勤と一緒にJR東海駅まで送ってもらい、帰宅は大甕駅からバスを利用する。中には水郡線で水戸駅に出て、常磐線を使う高校生もいた。太田駅から大甕駅はバスが1カ月1万3000円。JRは9220円。「経済的にも良く、水戸で予備校に通えるから便利」と話す。
  • 電鉄線は日立市久慈町、大和田町になると、住宅近くを走っていた。自宅のすぐ裏が線路、踏み切りだった久慈町の渡辺キミ子さん（81）は「50年以上、電車と踏切の音がうるさかった。やっと静かになった」と喜ぶ。自宅敷地を高架線で分断された大和田町の宇須井一行さん（70）は「77年間、騒音を出していたのが、やっとなくなった」と話すが、手放しでは喜んでいない。まだ、敷地に高さ4mの巨大なコンクリート橋脚7基や線路が残る。日立電鉄は今月中にも住民説明会を開催。10月にも高架線を撤去する計画などを報告する。まだ、電鉄線には課題が残る。
• 2006/03/26　読売新聞茨城版　…「水郡線の利用促進サポーターズ発足」より
  • 1年前に廃線となった日立電鉄線の復活を求めるなどしていた「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」が「水郡線サポーターズ高校生徒会連絡会」と改称、25日、常陸太田市稲木町の県立佐竹高校で設立総会を行った。佐竹、太田二、大宮、那珂、大子清流、水戸農の6校の生徒会役員ら約30人が参加、佐竹高の渡辺広大生徒会長（17）を会長に選出した。もとめる会の活動を振り返り、「もっと常陸太田の住民らを巻き込めたら、存続・復活への力になったのでは」などと総括した上で、今後は「水郡線サポーターズ」として、利用促進などを求める活動を進めていくことを確認した。
• 2006/03/26　朝日新聞茨城版　…「沿線高校生が連絡会発足　JR水郡線」より
  • JR水郡線（水戸〜郡山）をより便利なものにしようと、沿線の高校の生徒会役員が「水郡線サポーターズ」高校生徒会連絡会（SSK）を25日に発足させた。今後、JR東日本に混雑緩和を要望したり、学生のマナー向上策を考えたりする。SSKは佐竹高や太田二高の生徒会が中心となり、日立電鉄線の存続や復活を求める活動をしていた連絡会が母体。同線は昨年3月に廃止されたが、県北地域の公共交通機関の問題を継続して考えようと発足した。SSKは当面両校でスタートし、25日の結成総会に参加した那珂、水戸農、大宮、大子清流の4校や、他の沿線校にも参加を呼びかけていく。
• 2006/03/26　茨城新聞　…「存続へ沿線の高校生水郡線サポーターズ結成」より
  • JR水郡線を通学に利用する沿線高校の生徒会が25日、「水郡線サポーターズ」高校生徒会連絡会を結成した。同サポーターズは日立電鉄線廃止後、鉄道復活を求める運動を展開してきた高校生組織を発展的に解消し発足。JR東日本に水郡線存続、利便性向上などを働き掛けることにしている。結成総会に先立ち、電鉄線に代わる鉄道誘致を目指してきた「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」（会長・小室早紀子前佐竹高生徒会長）が「まとめの集会」を開き、活動経過を報告。今春卒業する小室会長（18）は「大人が存続運動に加わっていれば状況は変わった。電鉄線を復活できず残念だが、心機一転して鉄道存続に携わって」と、運動継続を後輩に託した。
• 2006/03/26　産経新聞茨城版　…「水郡線存続へ高校生タッグ　サポーターズ結成」より
  • 水郡線沿線の高校生が手をつなぎ、存続と利便性向上の運動を展開していこう、と25日、県立佐竹高と県立太田二の両校生徒会が「水郡線サポーターズ」高校生徒会連絡会を結成した。常陸太田市稲木町の佐竹高会議室で開かれた設立集会では今後、サミット開催や署名活動を通じ、他校や地域への輪を広げ、運動の盛り上げを図っていくことを決めた。集会は、日立電鉄線廃止をきっかけに誕生した「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」の活動を振り返り、同様に利用減で廃線が懸念される水郡線の存続や県北地域の公共交通問題への新たな運動展開へつなげていく目的で開かれた。那珂高など計6校の生徒会関係者約30人が参加した。佐竹、太田二以外の4校は「自校へ持ち帰って検討したい」とこの日の入会を見送ったものの、これまでの運動をともに振り返り、7月に水郡線サミットを開催することを決めた。
• 2006/03/20　朝日新聞茨城版　…「鹿島鉄道救えと住民ら集会」より
  • 廃線の危機にある鹿島鉄道を救おうと、「かしてつブルーバンドプロジェクト実行委員会」（菅原太郎委員長）が主催する集会が19日、玉里村総合文化センター「コスモス」であり、沿線住民ら約350人が集まった。まず沿線16の中・高校でつくる「かしてつ応援団」顧問で県立小川高校の栗又衛教諭が鹿島鉄道の歴史や廃線をめぐる経緯、乗客を増やすための取り組みを説明した。続いて日立電鉄の存続運動を続けてきた常陸太田市の県立佐竹高校の生徒が廃線後の状況を発表。生徒らは「お年寄りや学生のような交通弱者にとって通学時間が長くなるなど影響は大きい」と訴え「僕たちと同じようなことにならないよう、がんばってください」と締めくくった。菅原委員長は「最後まで利用促進と公的支援を訴えていく」と話した。
• 2006/03/20　東京新聞茨城版　…「存続危機の鹿島鉄道…『交通弱者守って』　玉里で発信会」より
  • 来年4月以降の存続が危ぶまれている鹿島鉄道を応援するメッセージ発信会が19日、玉里村総合文化センターで開かれた。参加者らは存続に向けて乗車を呼び掛けるとともに公的支援の継続を訴えた。存続運動に取り組む沿線中高生のグループ「かしてつ応援団」や市民団体でつくる実行委員会が企画。地域住民ら約300人が訪れた。沿線の高校演劇部や市民劇団による音楽劇、沿線企業に勤めるサラリーマンバンドなど4団体がステージショーを披露。昨年3月末で廃線となった日立電鉄線の復活を願う常陸太田市の高校生が「お金よりも交通弱者を守る思いやりが大切。存続できるよう頑張ってください」とエールを送った。
  • 鹿島鉄道は自力での事業継続を断念し、今月中に国土交通省へ廃止を届け出る。だが、2007年度以降の公的支援が決まれば、廃止の見直しも示唆しており、沿線自治体と県が協議している。
• 2006/03/15　産経新聞茨城版　…「初めての全県1学区制入試　学区外志願者増えた？」より
  • 県教委は14日、今回の入試から県立高校の通学区域を廃止して全県1学区制になったことの影響について、学区外志願者数に基づき調査した結果、「大きな影響はなかった」と発表した。学区外志願者率が特に大きく伸びたのは、前年度比11.5ポイント増で55.9%の並木高（つくば市並木）と同9.1ポイント増で43.3%の竹園高（つくば市竹園）、同10.0ポイント増で22.9%の緑岡高（水戸市笠原町）の3高。
  • （―中略―）緑岡高は常陸太田市からの志願者増が目立ったが、同校では「日立電鉄線が廃止になった影響では」とみている。県全体でも、全日制普通科の平均学区外志願者率が前年度比1.1ポイント増の8.3%と微増にとどまっているため、県教委では全県一学区の影響について「混乱しない程度の変化にとどまった」と分析している。
• 2006/02/22　毎日新聞茨城版　…「鹿島鉄道存続問題：知事『地元から話くれば対応』　財政支援に前向き姿勢」より
  • 来年4月にも廃線になる可能性が出てきた鹿島鉄道について、橋本昌知事は21日の会見で「地元から一緒に考えてほしいという話がくれば、積極的に対応していきたい」と述べ、財政支援に前向きな姿勢を示した。橋本知事は、「地元の自治体が何とか存続させたいと言っている点で、（昨年3月に廃線になった）日立電鉄線の場合とは少し状況が違う」として、「お金を出さないと解決しない問題でしょうから、どういう出し方をしていくのかを含め、地元の体制づくりや利用客増加のための対応を総合的に考えていく必要がある」と述べた。一方、沿線の中・高校生や地元のNPO法人による支援活動については「機運の盛り上げには役立つが、収益に結びついていない」という見方を示した。鹿島鉄道の親会社、関東鉄道は、3月に鹿島鉄道の廃止届を提出する意向を表明している。
    （※管理人注　…日立電鉄線とは直接関係のない記事ですが、茨城県知事のコメントに「日立電鉄線」の文言が含まれていたので掲出しました。）
• 2005/12/29　東京新聞茨城版　…「ニュースこの1年　2005＜上＞　3月」より
  • 【31日】　日立電鉄線が廃線。
• 2005/12/28　毎日新聞茨城版　…「2005年茨城・この1年：行政・経済　「ちん電」消え、TX開通」より
  • 【日立電鉄線が廃止】
    「ちん電」の愛称で親しまれた日立市と常陸太田市を結ぶ日立電鉄線（鮎川−常北太田駅間18.1キロ）が3月31日、77年の歴史に幕を下ろした。
• 2005/12/24　東京新聞茨城版　…「いばらき回顧　2005＜4＞　日立電鉄線廃線」より
  • 3月31日をもって、77年の歴史に幕を下ろした日立電鉄線。日立市と常陸太田市を結ぶ単線は、沿線住民の貴重な移動手段だった。存続や復活を求める運動を展開した地元の人たちや高校生に話を聞くと、“ちん電”の愛称で親しまれたこの鉄道への思いはひしひしと伝わってきた。だが、不採算のローカル線が姿を消すのは全国的な流れでもある。日立電鉄という民間企業が運営している以上、廃線もやむを得ない選択というのが正直な感想だった。
  • 4月1日から代替バスの運行が始まったが、渋滞や悪天候の影響を受け、ダイヤが乱れやすいなどと指摘された。そうしたことも一因だろう。日立電鉄バスの発表によると、路線によっては日立電鉄線に比べ最大で80%近くの利用者が減った。鉄道で通っていた生徒の半数以上が、自転車通学や保護者による車の送り迎えに切り替えたという高校もあった。では、廃線は「不便さ」だけをもたらしたのか。市や県などに存続を訴えていた住民グループの1人は「（第三者に）任せきりではだめと分かった。公共交通機関のあり方について、市民が主体的に考えるきっかけになった」と話した。どの自治体も厳しい財政を強いられ、行政の役割は変化している。この問題が、市民による「街づくり」の重要性を認識させたのなら、それだけでも大きな収穫だったのではないか。
  • 先日、日立電鉄の久慈浜駅で保管されていた車両（長さ16メートル、幅2.7メートル、高さ4メートル）が、トレーラーに積み込まれた。行き先は、日立市留町の鉄道模型ショップ。10月にオープンし、この目玉として購入した。店外に設置し、日立電鉄の歴史を紹介する資料や、鉄道グッズを展示する予定だ。店主は「ずっと“ちん電”の姿を見て、後々に語り継いでもらいたい」と言う。田園地帯や住宅地を縫って走る、牧歌的な光景が見られないのは寂しいが、また会える場所ができたのはうれしいニュースだ。
  • ＜メモ＞　日立電鉄線は1928（昭和3）年の開業。鮎川駅（日立市）と常北太田駅（常陸太田市）の18.1キロを結ぶ。マイカーの普及などの影響で利用者が減り、赤字が恒常化。老朽化した施設や設備の改修もままならず、安全性を確保できないなどの理由で2003年10月に廃線の方針を決定した。両市による支援も模索されたがいずれも断念。今年3月に廃線となった。
• 2005/12/22　読売新聞茨城版　…「読者が選んだ県内10大ニュース」より
  • 5位：日立電鉄廃線で77年の歴史に幕（3月31日）
    最終日は記念乗車する人でにぎわい、別れを惜しむ人たちに見送られて、77年の歴史に幕を閉じた。「ちん電」の愛称で親しまれてきただけに、使用されていた鉄道用品や部品の展示販売会には、大勢の鉄道ファンが詰めかけた。日立市は、市内の線路跡地を生活道路として活用する方針を示している。
    （参考…　1位：つくば−秋葉原間を結ぶつくばエクスプレス開業。4位：平成の大合併進む）
• 2005/12/20　茨城新聞　…「日立国道6号バイパス、計画見直し　電鉄跡地利用」より
  • 国道6号バイパスの未事業化区間の都市計画見直しについて、県土木部は先の第4回定例県議会で、「計画当時（1980年代前半）と環境が大きく変化し、一部を見直す必要があると認識している」とし、「早急に整備計画や整備手法を取りまとめるよう、国に強く働きかけていく」との考えを明らかにした。県道路建設課によると、見直し対象となるのは国道6号バイパスの旭町アクセス以南で、従来計画の海上ルートから日立電鉄線の跡地利用や国道245号の拡幅による陸上ルートに変更できないか検討する方針。未事業化区間の計画見直しはルート変更による整備費削減で早期完成を目指すのが狙いで、樫村千秋日立市長も国、県に要望する方針を表明していた。
• 2005/12/18　読売新聞茨城版　…「ちん電 第2の人生 日立で公開へ」より
  • ちん電の愛称で親しまれながら、今年3月末で創業77年の歴史の幕を閉じた日立電鉄線の車両1台が、日立市留町、鉄道模型専門店「電車くん」の経営者に払い下げられ、ちん電資料館として、第2の人生を歩むことになった。オレンジとクリームのツートンカラーの車両は17日早朝、旧日立電鉄線久慈浜駅から、1.7キロ離れたお店まで大型トレーラーで運ばれ、待ちかまえた鉄道ファンや、地元の人たちに温かく迎えられた。ちん電24両のうち、嫁入り先が決まったのは、初めて。保存される車両は、営団地下鉄（現東京メトロ）銀座線で走行後、ちん電に払い下げられた、車両の両側に運転台がある3000系という形式で、長さ16メートル、幅2.7メートル、高さ4メートル、重さ36トン。ちん電車両の保存には、輸送費約160万円を含め、約200万円かかったという。店主は「ちん電の歴史を後生に伝える資料館にしたい。車両は、専門家にメンテナンスを頼み、いつでも走られる状態で公開したい。いつかどこかで、もう一度走らせて見たい」と、ちん電への熱き夢を語る。資料館に展示する、最終電車に飾られたヘッドマークや駅名表示板、信号機など約50点のちん電グッズをすでに収集した。資料館は、来年1月半ば以降に公開予定。
    （※管理人注　…新聞の掲載写真で確認できる方向幕は別所有者からの預かり物で、防犯上の理由により、通常は方向幕を抜いているそうです。）
• 2005/12/17　産経新聞web茨城版　…「日立電鉄車両“第2の人生”出発　鉄道模型店へ引っ越し」より
  • 今年3月に廃線となった日立電鉄線の車両1両が日立市留町で鉄道模型店を営む男性に買い取られ、16日、旧久慈浜駅構内で��お引越し�≠ﾌ準備が始まった。車両は本体と下部の台車とに分けられて大型トレーラーの荷台に。17日早朝、移転先に向かい、到着後は大型クレーンで模型店敷地に敷かれたレール上に設置されることになっている。車両はMC（モーターコントロール）3023号で、オレンジとクリームの旧型車両の塗装。鉄道模型専門店「電車くん」を経営する大内裕司さん（50）が購入した。大内さんは今年春まで小学校の教員だったが、夢を実現させるため、定年を10年早めて退職。自宅敷地の蔵を改装して10月に「電車くん」をオープンさせた。車体下部の台車はひと足先に店に運ばれ、本体の到着を待っている。この日、車体の積み込み作業を間近にした大内さんは「感無量で胸がいっぱい。愛着をもって大事にしていく」と話す。今後は日立電鉄線の私設資料館として内部を公開する予定だ。
  • 「電車くん」は午後3時−9時（土日祝日は午前9時から）営業。月曜と第1火曜休み
• 2005/12/07　読売新聞茨城版　…「日立バイパス　陸上ルート変更案」より
  • 日立市の樫村千秋市長は6日の定例市議会一般質問で、今年3月末で廃線となった旧日立電鉄線の跡地の一部を、国道6号日立バイパスの未事業化区間の用地として再利用する考えを明らかにした。計画では、未事業化区間は、海上に高架橋を架ける方式だが、建設費が約600億円と見込まれ、見通しが立っていない。そこで、電鉄跡地や沿線の日立製作所の社宅跡地などを利用する陸上ルート案が浮上した。電鉄跡地については、電鉄側から今春、市に「利用計画があるなら、提供してもよい」との申し入れが伝えられている。未整備区間（同市旭町―河原子町の5.7キロ）では、電鉄跡地を利用して国道245号（片側1車線）を拡幅する区間もつくることで、事業化に弾みをつけたい考え。樫村市長は「日立電鉄線の廃止など、沿線を取り巻く環境が大きく変化しており、都市計画の変更も視野に入れ、国、県に、旭町以南のルート見直しを働きかけていきたい」と答弁した。
• 2005/12/03　読売新聞茨城版　…「県内10大ニュース　投票募集」より
  • 今年3月の出来事として、「日立電鉄線廃線、77年の歴史に幕を下ろす（31日）。」がエントリー
• 2005/09/14　茨城新聞　…「新規事業者現れず　日立電鉄線」より
  • 日立電鉄線の廃止に伴い、新たな鉄道事業者を公募していた「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」（会長・小室早紀子佐竹高生徒会長）は13日、新たな鉄道事業者が現れなかったことを明らかにした。同連絡会では「代替バスで通学が不便になった高校生が多く、鉄道復活が困難な状況となり残念」とのコメントを発表した。同連絡会は電鉄線廃止後、日立市や常陸太田市に鉄道復活の再検討などを要望したが、事態を打開する回答は得られなかった。大久保太一常陸太田市長との懇談では電鉄線を記念するモニュメントの設置を要請した。
  • また6月10日から9月10日まで、佐竹高のホームページで日立電鉄に代わる鉄道事業者を募集。新しい鉄道名称も募った。名乗りを上げた事業者はなく、名称は「日立太田鉄道（略称・日太線、愛称・光圀線）に決定。「復活することがあればこの名称を検討してほしい」としている。同連絡会は10月15日午前10時から、「第1回高校生水郡線サミット」を那珂市の那珂高で開き、JR水郡線や地方鉄道の課題を訴える。
• 2005/09/14　読売新聞茨城版　…「ちん電復活を断念　生徒会連絡会」より
  • 日立電鉄線の復活を求めていた「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」（会長・県立佐竹高3年、小室早紀子さん）が、活動を断念した。会は13日、「『復活』は困難な状況となっています。本当に残念でなりません」とするコメントを発表した。会は、日立電鉄線の維持存続を求めて発足、3月いっぱいで廃線となった後は、6月から3カ月間、ホームページで同線の新しい鉄道事業者を募集したが、応募がなかった。今後は地方公共交通について考える活動を行うといい、10月15日に県立那珂高校で、「第1回高校生水郡線サミット」を開く予定だ。
• 2005/08/24　茨城新聞　…「日立電鉄、持ち株会社の子会社に　関連3社合併へ」より
  • 日立電鉄（本社日立市、大野健二社長）は23日、臨時株主総会を開き、グループ会社の一体運営・再編を目指し、持ち株会社の日立電鉄ホールディングスの完全子会社となることを決めた。また、日立電鉄バス、日立電鉄観光、日立電鉄サービスの3社は10月1日に合併し、日立電鉄交通サービスに社名変更する。同サービスは日立電鉄の子会社となる。財務体質改善を図るため、約77億円の欠損金については、資本金を35億5000万円減額して1億円とし、減額分を欠損に充当するほか、利益準備金5300万円全額、資本準備金約31億3400万円を取り崩し、欠損処理に当てる。この結果、欠損金は10億円程度になる見通し。一方、日立電鉄バス、日立電鉄観光、日立電鉄サービスは22日、臨時株主総会を開き、合併と社名変更を決めた。今回の再編で、日立電鉄グループは日立電鉄ホールディングスが親会社となり、子会社として日立電鉄、その子会社として日立電鉄交通サービスという体制となる。
• 2005/08/02　読売新聞茨城版　…「日立乗合タクシーで利便向上」より
  • 路線バスが走っていない日立市南部で1日から、乗合タクシー「みなみ号」（乗客定員9人）が試験運行を開始した。定時運行、一定路線の乗合タクシーは、県内では土浦市に次いで2番目。10月26日まで、土曜と休日を除いて走り、来春の本格運行を目指す。ルートは、市久慈川日立南交流センターから、神田、留、下土木内地区を経由して、大甕駅に至る片道13キロ。1日6往復、途中13か所で停車し、運賃は一律200円（1歳未満は無料）。客が多くて積み残しが出た場合は、臨時便を出す。この日は、センターで第1便（午前8時40分発）の出発式があり、運行を請け負う日立電鉄タクシーの運転手に、地元産野菜が贈られた。
• 2005/08/02　毎日新聞茨城版　…「乗り合いタクシー：日立市、南部地域で運行実験を開始　高齢者らの“足”に」より
  • 日立市は高齢者や運転免許を持たない交通弱者の移動手段の確保策の一つとして1日、同市南部地域を対象とした乗り合いタクシーの運行実験を始めた。乗り合いタクシーは、路線バスがない地域を中心に導入を求める強い要望があった。運行実験はその実現の可能性を調べるために行う。10月26日まで、土日曜日・祝日を除く60日間、コースは同センターからＪＲ大甕駅までの約13キロで、午前8時40分発から午後4時10分発までの1日6往復を運行する。運賃は片道1乗車200円。実験地域は神田町や下土木内町、留町などの坂下地区。タクシーは、ワゴンタイプで乗車定員は9人。車体に「乗合タクシー　みなみ号」とステッカーが張られている。停留所は病院や公共施設など日常生活に欠かせない施設など15カ所。
    （※管理人注　…記事中の「坂下地区」とは、旧日立電鉄線久慈浜駅〜大橋駅間の南方1〜2キロ程度の範囲を指すものと推定されます。）
• 2007/07/17　読売新聞茨城版　…「日立電鉄線　レール撤去開始」より
  • 今年3月末で廃線となった日立電鉄線（鮎川―常北太田駅間、18.1キロ）で16日から、レールの撤去作業が始まった。全線の線路を3か月かけて順次撤去し、売却する方針。作業は、1928年に最初に開通した日立市内の、大甕―久慈浜駅間（2.1キロ）から始まった。作業員が、線路のボルトを外し、レールを作業車に乗せて、次々と久慈浜駅構内に運び込んだ。レールの売却代金は、約3000万円を見込む。
• 2005/07/10　いばらき県議会だより　…「常任委員会に付託された請願の審査結果」より
  • 総務企画委員会は、「日立電鉄線の運行存続に対する県の支援に関する請願」を、平成17年第2回定例会（6/8〜6/22）にて不採択とした。
• 2005/07/02　読売新聞茨城版　…「駅前再開発見直し　常陸太田市長」より
  • 常陸太田市の大久保太一市長は1日の定例記者会見で、JR常陸太田駅前の再開発事業について、「抜本的な見直しが必要」とする考えを示した。大久保市長は、日立電鉄線が廃止になり、常北太田駅と国道293号線の踏切が無くなったとして、「交通渋滞の解消に加え、駅前を明るい雰囲気にする」と語った。2002年9月に地権者に示された計画で約70億円だった事業費も圧縮。今年度中に住民と市が協議会を作り、向こう3年で計画をまとめる。
• 2005/06/27　茨城新聞　…「国交省　日立電鉄グループ　事業再構築計画を認定」より
  • 今春に鉄道事業を廃止した日立電鉄（大野健二社長）を中心としたグループ会社は26日までに、一体運営と再編に関して、国土交通省の産業活力再生特別措置法（産業再生法）に基づく事業再構築計画の認定を受けた。今月末にも親会社の日立製作所による第三者割当増資などで財務基盤を強化、10月にはバスや観光、サービス会社を合併、不動産事業などは切り離す。この結果、同グループはバス事業を中核に収益力の向上を図り、健全経営を目指すことになった。再構築するのは日立電鉄のほか、グループの持ち株会社の日立電鉄ホールディングス、日立電鉄バス、日立電鉄観光、日立電鉄サービスの5社。
  • 国土交通省などによると、29日にもホールディングスは日立製作所から65億円の増資（32億5千万円は資本金に組み入れ）を受け、電鉄はホールディングスから63億円の増資（同31億5千万円）を受ける。ホールディングスを完全親会社、電鉄を完全子会社とする現金交付による株式交換を行い、電鉄の債務超過を解消する。電鉄の株式をすべてホールディングスに集約するため、法人や地方公共団体を含めた約500人の株主に対しては、1株50円（額面）で買い取る計画だ。電鉄の財務体質改善を図る一方、観光とサービスの2社は10月1日にもバスに吸収合併する。電鉄の不動産事業は日立製作所の関連企業に移管するなど、日立電鉄グループは今後、バス事業を中核事業に位置付け、「つくばエクスプレス」開業に合わせ、日立市から守谷駅までの高速バス路線も認可申請している。
  • こうした再構築により2008年度には有利子負債はキャッシュフローの4.4倍とし、経常収入は同支出を上回る予定になっている。同グループは04年度、売上高85億2千万円、経常利益1億5600万円。だが、鉄道事業廃止に伴う特別損失計上により、連結当期純損失約20億円を計上した。
• 2005/06/16　読売新聞茨城版　…「ちん電復活『困難』　議会で常陸太田市」より
  • 常陸太田市は15日、日立電鉄線の復活を求めるのは困難だとする見解を市議会の一般質問で示した。柴田稔市長公室長は「市では（廃止前に）継続的な支援は困難と判断し、日立市でも廃止やむなしと結論づけた。復活は困難という認識には変わらない」と答えた。また、代替バスの利用者が電車時代に比べて大幅に減っていることについて、柴田室長は「県、日立市、日立電鉄、関東運輸局を交えて協議会を開き、7月のJRダイヤ改正に対応するようになど要望を伝えている」と答弁した。電鉄線に関しては、高校生徒会連絡会や、日立市の市民団体から復活を求める要請書が出ている。
• 2005/06/11　朝日新聞茨城版　…「電鉄線代替バス利用4割　廃止から約2カ月」より
  • 3月31日の日立電鉄線の廃線から2カ月余り。廃線と同時に代わりのバス計4路線が新設されたが、利用者は電鉄線の4割強しかいない状況だ。バスが通勤・通学時間帯を中心に遅れがちなのが理由とみて、日立電鉄バスは7月9日から出発時間を早める。一方、鉄道の復活を求める高校生たちは活動団体を再結成し、10日、学校のホームページで鉄道を運行する事業者の募集を始めた。
  • 日立電鉄バスによると、新設4路線の4月の平日の利用者数は一日平均1277人。電鉄線沿線を走るバスの既存路線の利用者数が廃線前後で一日平均365人増えたため、同社は合計の1642人が電鉄線からバスに代えたとみている。この結果、同社は、昨年8月に調べた平日のある一日の電鉄線の利用者数3946人を基に、切り替え率は42%とした。代替バス以外の交通手段はどうか。県立佐竹、太田二、日立工の3高校生でつくる「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」のアンケートによると、佐竹高では電鉄線を利用していた生徒26人のうち代替バスが15人、保護者の送迎と自転車が各5人、ＪＲが1人だった。
  • 利用者減の原因の一つと考えられるのがバスの遅れだ。10日朝、平日の太田馬場発大甕（おお・みか）駅行きのバスに乗ってみた。午前6時50分、常陸太田市の電鉄線旧常北太田駅前。バスはダイヤより5分遅れの6時55分に来た。国道293号を通って日立市方面へ。同市に入って間もなく市道に入り、住宅地を通る。国道6号を越え、大甕駅に近づくにつれ、信号で止まったり、前に車が入ってきたりした。同駅到着はダイヤより8分遅れの7時28分だった。日立電鉄バスによると、4月は4路線で平均1〜9分遅れた。雨天の通勤・通学時間帯で最大34分遅れたこともある。同社は要望を受け、7月9日のＪＲダイヤ改定に合わせ、太田馬場発大甕駅行きの午前6〜7時台の計5本について、出発を5分早める予定だ。
  • 高校生徒会連絡会は日立、常陸太田両市内の10高校の生徒に廃線の影響に関するアンケート調査を実施。5月末から今月初めには両市長に、廃線に伴う問題の実態調査や市主催の公共交通のあり方に関する学習会の開催などを求める要望書を提出した。10日には佐竹高のホームページで鉄道を運行する事業者の募集を始めた。事業者から連絡があれば、日立、常陸太田両市に伝える。
• 2005/06/10　佐竹高校HP　…「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活を求める高校生を応援する「応援団」（事業者）の募集要項」
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「日立電鉄線に変わる新しい鉄道の『名前』募集要項」より
  • 茨城県北部の日立市と常陸太田市を結んでいた日立電鉄線は、2005年（平成17年）3月31日を最後に廃線となりました。このため「日立電鉄線維持存続をもとめる高校生徒会連絡会」は「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」と名称を変更し、高校生の通学など交通手段の確保のため鉄道の「復活」を支援していただける応援団（事業者）を募集することにしました。
    1．募集条件
    　高校生の通学状況と鉄道復活のとり組みを理解し、応援してくれる個人または事業者とする。
    2．応募方法
    　「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」の事務局は県立佐竹高校となっておりますので、下記までご連絡下さい。
    　（省略。応募先は佐竹高校のHPをご覧下さい。）
    3．応募期間
    　6月10日〜9月10日の3ヶ月間とする。
    4．取り扱いについて
    　応募期間中に応募された事業者（またはお名前）は、9月13日以降、公表させていただきます。また、すべての応募者については「連絡会」が責任をもって、茨城県、日立市、常陸太田市にご紹介します。
  • （「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」は）日立電鉄線に変わる新しい「名前」も募集することにしました。
    ・応募方法と応募期間　（前項と同じ）
    ・新しい鉄道の「名前」の発表について
    　応募期間中に応募された「名前」（案）については、「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」が審査をし、9月13日に発表します。
• 2005/06/10　東京新聞茨城版　…「日立市　乗り合いタクシー運行／8月から3カ月間」より
  • 鉄道やバスを利用しづらい地域の住民の移動手段を確保しようと日立市は8月から、乗り合いタクシーの運行を始める。南西部の坂下地区で3カ月間、試行的に実施。採算が取れれば、事業の継続や、他の地域への拡大も視野に入れている。住民の意見を基に設定したルートは、坂下地区と市支所、ＪＲ大甕駅などを結ぶ13キロで、乗り降りできる停留所は15カ所ほど。料金は一律200円で、平日の午前9時台から午後4時台まで一日6便運行する予定。坂下地区には約900世帯、約2700人が住んでおり、最寄りのバス停まで2キロ近い集落もある。マイカーを持っていない老夫婦も多く、病院通いや買い物などに不便を感じているという。
  • 2002年の道路運送法改正で、バス路線の縮小、廃止が許可制からバス会社による届け出制に変わり、市側には「行政として公共交通網を維持するすべがない」（市政策審議室）という焦りがある。このため同市では乗り合いタクシーの導入を検討していた。豊田泰二政策調査担当課長は「設備投資の必要がなく、どの地域でも取り入れられる。安全性も含め、データを集めたい」と話している。
• 2005/06/03　読売新聞茨城版　…「電鉄が跡地利用で協議申し入れ　日立市」より
  • 3月末で廃線となった日立電鉄線の跡地利用について、電鉄が日立市に対し、協議の場の設置を申し入れていることが2日わかった。樫村千秋市長が、定例記者会見で明らかにした。申し入れは4月21日付の文書で、「街づくりの妨げにならないようにしたいので、有効利用について、話し合う場を新設すること｣を要望している。電鉄は、常陸太田市へも同様の申し入れを口頭で伝えているが、樫村市長は「線路敷地だけでなく、電車など鉄道施設全体の有効利用について、市としての考えをまとめている段階」と述べるにとどまった。
• 2005/05/29　茨城新聞　…「鉄道復活へ連絡会　日立電鉄沿線3高校」より
  • 廃止された日立電鉄線に代わる鉄道を復活させようと、沿線高校3校が28日、「日立市〜常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」の結成総会を常陸太田市の佐竹高で開いた。連絡会では週明けにも日立、常陸太田両市長に復活を求める要請書を提出。鉄道事業者の募集や「水郡線サミット」を開き、公共交通のあり方や通学の足の確保を行政などに働き掛ける。結成総会には日立電鉄線の存続運動を続けてきた佐竹、太田二、日立工の3校の生徒会役員15人が出席。会長に小室早紀子さん（佐竹高）を選出した。連絡会発足に伴い、従来の「電鉄線の維持存続をもとめる高校生徒会連絡会」は「復活をもとめる高校生徒会連絡会」に名称変更された。
  • 活動計画によると、鉄道復活を支援する応援団（運行事業者）を3校のホームページで募集、新しい鉄道名称も募る。応援団公募は和歌山県の南海貴志川線の成功例を参考にした試みで、企業・個人を問わない。電鉄線廃止に伴い太田二では日立方面からの通学者が減少。通学に片道2時間かかる生徒も出ている。日立工でも常陸太田方面からの受験者が減ったとの報告があった。沿線10校を対象に行ったアンケート調査では「代替バスの定時運行ができていない」「料金が高くなった」などの回答が目立った。このため連絡会では30日、大久保太一常陸太田市長に鉄道復活の再検討や廃線に伴う実態調査などを求める要請書を提出。樫村千秋日立市長へも提出する。水郡線サミットは10月15日、沿線の高校で開かれる。同線は過去に赤字ローカル線問題で廃止候補に上った経緯もあり、連絡会では「JR常陸太田駅の利用者数は46万2833人（2003年度）。太田線が廃止になれば通学への影響は大きい。県北の公共交通に関心を持ってほしい」と話している。
• 2005/05/29　読売新聞茨城版　…「ちん電復活へ事業者公募　高校生徒会連絡会が発足」より
  • 今年3月末で廃線となった日立電鉄線沿線の3高校生徒会でつくる「日立市−常陸太田市間の鉄道の復活をもとめる高校生徒会連絡会」（会長＝小室早紀子・佐竹高校生徒会長）の結成総会が28日、常陸太田市稲木の佐竹高校で開かれ、復活作戦の第1弾として、復活鉄道の運行業者の全国公募を決めた。6月10日から3カ月間、佐竹、太田二、日立工の3高校のホームページで、「廃線で困っている高校生たちを応援して」と、支援を呼びかける。連絡会は、「日立電鉄線の維持存続をもとめる高校生徒会連絡会」を名称変更し、存続運動から鉄道復活活動にシフトしたもの。鉄道事業者に限らず応募者があれば、県、日立、常陸太田市に紹介し、行政に協力を要請する方針だ。高校生たちを力づけているのが、今秋廃線予定の和歌山県の南海電鉄貴志川線の地元自治体（和歌山県、和歌山市、貴志川町）の後継事業者公募作戦。今年2月の公募に、鉄道事業者だけでなく、鉄道マニアの旅行業者など9社（者）が応募し、日立電鉄の後継事業者にも名乗りをあげていた路面電車運行の岡山電気軌道（岡山市）が、引き継ぐことになった。
• 2005/05/29　東京新聞茨城版　…「利用者68−78%減少　日立電鉄線代替バス」より
  • 日立電鉄バス（日立市）は、日立電鉄線の廃線に伴い、4月1日から運行を始めた代替バスの利用状況を発表した。利用者数は日立電鉄線に比べて68−78%減り、通勤・通学時間帯を中心に遅れが出ていることも分かった。太田−大甕間など新設されたバス4路線の一日あたりの総利用者数は、平日が1277人（日立電鉄線3946人）、土曜が397人（同1835人）、日曜が321人（同1043人）と大幅に落ち込んだ。定期券利用者を販売実績でみると、通学は約47%減で電車の利用者のほぼ半分、通勤は十分の一に激減した。また、各路線の平均で1−9分間のダイヤの乱れが生じている。とくに市街地を走る久慈コミセン−日立駅間では、最大34分の遅れがあった。同社は「雨の日の通勤・通学時間帯は、道路渋滞の影響を受けやすい。7月にダイヤ改正を検討しているが、バスの本数は減らさないつもり」と話している。
• 2005/05/28　茨城新聞　…「利用者、電車の3割　日立電鉄線代替バス」より
  • 日立電鉄線の廃止に伴う代替バスは、定期券利用者が鉄道に比べ約3割となり、大きく減少しているのが27日、分かった。特に通勤定期は約1割と激減、マイカーに乗り換えたとみられる。利用状況は1便当たり約20人と、既存路線バスに比べ順調だが、雨天に到着時刻の遅れなどがあり、夏のJRダイヤ改正に合わせ、バスダイヤを見直す計画。
  • 日立電鉄バスが公表した4月の代替バス利用状況によると、太田駅−大甕おおみか駅、久慈コミセン−日立駅の定期券利用者は、通学286人、通勤70人の計356人だった。昨年4月の電鉄線定期利用者は通学532人、通勤700人の計1232人で、通勤定期の激減ぶりが分かる。平日の一日当たり利用者は1277人で、電鉄線の約4千人に比べ約3割となり、定期券利用者の減少がそのまま反映されている。太田駅−大甕駅が、往復52便で1059人で、1便当たり20.4人。朝と夕方の6便運行する久慈コミセンから日立駅は、122人と1便当たり20.3人で、仲野徳寿業務部長は「1便平均20人ならば、ほかの路線バスと比較しても悪くはない」と話す。だが、日立駅から久慈コミセンは8便で57人。久慈コミセンから大甕駅の巡回は6便で39人と苦戦している。マイカー乗り換えによる交通渋滞は、通常はダイヤ通りにほぼ運行しているが、雨天には到着時間が遅れ気味。利用者はJR常磐線に乗り遅れることもあり、同社は7月9日のJRダイヤ改正に合わせ、到着時間に余裕あるダイヤ改正する計画で、「バス利用者の利便性を高めたい」と話している。
• 2005/05/28　読売新聞茨城版　…「ちん電→代替バス　利用者7割減」より
  • 廃線となった日立電鉄線沿線で、4月1日から運行を始めた代替バスを利用しているのは、電車利用者の32%であることが27日、日立電鉄バスのまとめでわかった。同社は、ＪＲ常磐線の7月ダイヤ改正に合わせて、バスダイヤの改正も検討しており、沿線市民は、早くも減便になることを心配している。同社によると、代替バス利用者は4月の1日平均で、平日（72便）1277人、土曜（36便）397人、日曜（同）321人。昨年の電鉄の1日平均利用者は、平日3946人、土曜1835人、日曜1043人だったため、電車からバスへの転換率は平日32%、土曜21%、日曜30%となる。代替バスへの転換率は、全国各地のケースでも平均30%台で、同社は予想された数値と分析している。
  • 代替バス離れは定期券利用者で顕著に出ており、通学定期は286人と、電車の532人から半減。通勤定期は70人と、電車の700人の10分の1に激減した。電車に比べて割高な運賃、渋滞での遅れが敬遠されたとみられる。ラッシュ時に積み残し客のための車両を待機させたが、1度も必要なかったという。渋滞の遅れについて、同社は、常陸太田市から日立市に向かうバスで、平日平均2分、逆方向で1分としているが、利用者の間では、雨の日の10分以上の遅れを指摘する声が多い。沿線住民でつくる「公共交通を考える市民フォーラム」の相原正夫代表は、「利用者が余りに少なく驚いた。この数字だけを理由に減便されたら、減便、利用減、減便の悪循環になる」と危機感を強めている。
• 2005/05/16　茨城新聞　…「乗り合いタクシー　8月から試験走行　日立」より
  • 公共交通の空白地帯解消を狙いに、日立市は8月から3カ月間、乗り合いタクシーの試験走行を始める。車を運転できない住民に対して生活手段としての足を確保、公共施設や病院、ショッピングセンターなどへ出掛けるための利用を図る。同タクシーは小回りが利くため期待が寄せられ、乗車率が高ければ、本格導入する計画だ。試行走行の対象となるのは、同市南部の大和田町や神田町、下土木内町、留町などの坂下地区。計画では大和田町の久慈川日立南交流センターから坂下地区、久慈町を通りＪＲ大甕(おおみか)駅までの約13キロで、午前9時から午後4時まで6−8便、運行する。
  • タクシーはワゴンタイプで乗客定員は9人。料金は200円均一の予定。停留所は路線バスが600−800m間隔なのに対して、平均300m間隔を予定、利便性を図る。乗り残しがある場合、通常のタクシーが向かう。市政策審議室によると、4月下旬に住民の代表などから意見を聞いたところ、予定したルートよりも広く、細かく回ってほしいとの強い要望が出た。このため今月上旬、競合しないように路線バス会社と協議、同下旬までに細部を詰める。豊田泰二政策調査担当課長は「通常の路線バスに影響がないように、ルートやダイヤを検討する」と話す。ルートなどが決まれば、運営は市ハイヤー協会を通して、入札により業者を決める。　乗り合いタクシーは、民間のバス路線がない「すき間を埋める役割」（豊田課長）。朝夕の通勤通学時間帯を避けた運行は、「あくまで生活手段の足」（同）であり、路線バスとの競合を避け、タクシーが暇な時間として、既存業者との協調を図る狙いもある。
    （※管理人注　…記事中の「坂下地区」とは、旧日立電鉄線久慈浜駅〜大橋駅間の南方1〜2キロ程度の範囲を指すものと推定されます。）
• 2005/05/01　茨城新聞　…「日立電鉄線グッズ販売　早朝から長蛇の列」より
  • 3月末で廃線となった日立電鉄線の車両部品や鉄道用品などの販売が30日、日立市久慈町の旧久慈浜駅構内であり、朝早くから鉄道ファンが押し寄せ、貴重な物品を買い求めた。販売は構内に停車する4台の車両の中で行われ、車内予備灯や車内扇風機、運賃表、つり革、制服・制帽、行き先表示板など鉄道ファン垂ぜんの品々が並べられた。価格は100円の切符などから2万円のカンテラまでさまざま。ファイナルランの電車のヘッドマークや非常警報ボタン、運転時計などはオークションにかけられた。午前10時の販売開始には、約150人が長い列をつくり、車内のあちこちでは、片っ端から手にする人、じっと見定める人などさまざまな姿が見られた。料金所は電鉄職員らが慣れない電卓を手に、懸命に計算に追われ、「まさか、こんなに売れるとは思わなかった。鉄道ファンはすごい」と話していた。物品販売は5月下旬にも実施される。
• 2005/05/01　読売新聞茨城版　…「ちん電販売会盛況　売り上げ270万円」より
  • 3月末で廃線となった旧日立電鉄線の鉄道用品や部品の展示販売会が30日、日立市久慈町の旧久慈浜駅で行われ、約350人の鉄道ファンでにぎわった。ホームに止めてある4両の電車内に、つり革（1000円）、駅員の帽子（3000円）や制服（500円）、レール止めのクギ（100円）など75種類が並べられた。また、サヨナラ電車のヘッドマーク、運転室のブレーキレバー、運転士の懐中時計などの人気用品は、1万から1万5000円の最低入札価格で、オークションにかけられた。人気のヘッドマークは最高5万6千円の値がつき、総計270万円の売り上げがあった。
• 2005/05/01　東京新聞茨城版　…「日立電鉄線廃線から1カ月　代替バスに市民不満」より
  • 日立市と常陸太田市を結ぶ日立電鉄線が3月末で77年の歴史に幕を下ろして1カ月。“ちん電”の音が消えた街には今、代替バスが走り、同線を運行していた日立電鉄（日立市）は、車両や設備の売却先を探している。
  • 「バスはダイヤが乱れることが多いので、家を早めに出る必要がある。まだ生徒は慣れておらず、戸惑いもあるようです」。約30人の生徒が日立電鉄線を使っていた県立佐竹高（常陸太田市）の根本滋教頭は、生徒への影響をこう話す。約4割は代替バスを利用。ほかの生徒は自転車通学や、保護者が送り迎えをしているという。今のところ、遅刻が増えるといった問題は出ていないが、「通学方法の切り替えに適応できているか、チェックしていきたい」と話す。廃線に伴い、日立電鉄バスは4路線を新設。1日50本増便して、4月1日から代替バスの運行を開始した。電車とバスの所要時間は、同じ区間を比べた場合、ほぼ変わらないという見通しだった。しかし、実際にバスの運行が始まると、「時間通りに到着しないので、他の交通機関への乗り換えが不便」「本数が少なく、残業や休日出勤ができなくなった」などの不満が、市民グループが行ったアンケートに寄せられた。同社は「正確なデータは集計中だが、道路の渋滞などで遅れるケースもあった」とダイヤの乱れを認め、見直しも視野に入れている。
  • 日立電鉄は4月中旬から、ホームページで日立電鉄線の車両や電気設備などの引き取り手を募っている。鉄道事業の再開を否定している同社は、設備の売却について「半年ぐらいで一定のめどを付けたい」という。同社は30日、日立市久慈町の旧久慈浜駅で車両部品の販売会を開き、運転士が使っていたコントローラーや圧力計など73種類、約千点を鉄道ファンに提供した。今後、路線の跡地の売却や返還の準備も進めていくという。ただ、事業整理が着々と進むことに反発も強まっている。一部住民団体は日立市などに廃線が与えた影響を調査するよう要望。沿線の高校の生徒会は日立電鉄に対し、販売会の開催を抗議した。「交通権学会」事務局長で、「日立電鉄再生プラン」を策定した環境政策研究所（東京都千代田区）の上岡直見主任研究員は、「鉄道を復活させるには、廃線後の交通実態を明らかにし、重要設備を保存することが課題」と指摘する。同時に「代替バスの利用者数が落ち込めば、いずれバス路線がなくなる恐れもある。地域の公共交通の質を高めるためには、市民が積極的に利用するなどして、必要性を訴えるしかない」と話している。
• 2005/04/28　読売新聞茨城版　…「ちん電施設売却『時期尚早』　沿線高生徒会が抗議」より
  • 廃線となった日立電鉄が、車両、レールなどの鉄道施設の売却先を探していることに対し、沿線の佐竹高校生徒会（小室早紀子会長）は27日、同社に文書で抗議した。抗議文では、代替バス運行で、到着予定時間の遅れ、割高の運賃など通学に影響があり、市民団体からも、電鉄線復活の要望が県、日立、常陸太田市に出ている。こうした中でのレールなどの主要施設の売却は時期尚早としている。生徒会は同日、県と、日立、常陸太田市に対しても廃線後の地域住民への影響調査実施、日立電鉄に施設売却の再検討を申し入れることを要望した。
  • 生徒会は、日立電鉄線の維持存続を求める高校生徒会連絡会の中心メンバーで、5月28日には、連絡会を再編成した、日立電鉄線の復活を求める高校生徒会連絡会の結成総会が予定されている。
• 2005/04/26　東京新聞茨城版　…「“ちん電”部品600点販売／日立電鉄　旧久慈浜駅で30日」より
  • 3月いっぱいで廃線になった日立電鉄線の旧久慈浜駅で30日午前10時から午後4時まで、車両部品の販売会が開かれる。駅に止めた“ちん電”を会場として活用する。日立電鉄（日立市）の担当者は「77年の歴史と、運転士や乗客の思いが詰まったものばかり。大切に持ち続けてもらいたい」と話している。使用車両24両のうち、5両から部品を取り外し、提供する。運転士が使っていたコントローラーや時刻表など約30種類、約600点を売り出す。購入者には、2003年3月に金砂大祭礼の開催に合わせて発行した「一日フリー乗車券」を無料で贈る。人気が高い運転室内に設置された「運転時計」や、ラストランまでの約2週間、車両の前部と後部に掲示された「ヘッドマーク」はオークションを実施する予定。問い合わせは同社日立電鉄線管理グループ＝電0294（52）5147＝へ。
• 2005/04/25　読売新聞茨城版　…「ちん電復活求め日立で市民集会」より
  • 日立電鉄を存続させる会（小野瀬文雄、五十嵐武夫代表）は24日、日立市久慈町で、市民集会「ちん電走る風景を復活させたい」を開き、県、日立、常陸太田市に、先月末で廃線となった電鉄線の復活を申し入れることを決めた。今月中旬に実施したアンケート中間報告を行い、住民は、渋滞、JRとの乗り継ぎ、電車に比べ割高なバス運賃に困っており、86%が復活希望と紹介した。調査は3000人に郵送で行われ、回答率6%。
• 2005/04/18　読売新聞茨城版　…「ちん電車両　レール　信号…　売却先を募集中／30日に販売会」より
  • 3月末で廃線となった日立電鉄（松場卓爾社長）は、同社のホームページ（HP）で、不要となった車両、レールなど鉄道施設の譲渡先探しを始めた。半年ほど募集し、譲渡先が決まらないものは解体処分する方針。路線復活を訴えるグループなどは、これまで、将来の営業再開に向けて主要施設の保存を要望しており、「日立電鉄線を存続させる市民フォーラム」の西村ミチ江座長は、「こんなに早く売却が始まるのは残念。対応を協議したい」と話している。施設譲渡は15日からHPに掲示しており、売却対象は、駅舎、鉄橋を除くほとんどの施設。所有全24車両のほか、電気設備（変電所、電気機器など）、運転保安設備（信号、保安通信、踏切安全設備）、枕木、列車無線設備、車両牽引（けんいん）車など。価格は話し合いで決めるが、輸送費は譲渡先負担となる。同社は「鉄道事業者に有効活用してもらう狙いだが、一般の人でも構わない」としており、すでに、西日本の鉄道会社から、変電設備について問い合わせがあるが、車両は、倉庫や店舗などとして再利用されるケースもあるという。レールは、全長18.1キロから推計し、鉄くずとして販売しても約3000万円になる。
  • また、車両部品・鉄道用品の第1回販売会が、30日午前10時から午後4時まで、日立市久慈町の旧久慈浜駅構内で行われる。車内予備灯、運転室正面カバー、各駅掲示表示板、居酒屋電車、ファイナルラン電車のヘッドマークなど、鉄道ファン垂ぜんの品が多く、一部は、入札で販売予定。問い合わせは、同社（（電）0294-52-5147）。
  • 一方、市民団体「日立電鉄線を存続させる会」（五十嵐武夫、小野瀬文雄代表）は、24日午後2時から、同市久慈町の久慈コミュニティーセンターで、電鉄線復活を求める集会を開く。日立電鉄再生プランをまとめた環境政策研究所（東京都千代田区）の上岡直見主任研究員が「日立電鉄線廃線の影響とこれからの街づくりの課題」と題して講演し、廃線後に独自実施した市民アンケート結果を発表して、復活への知恵を出し合う。
• 2005/04/17　いばらき県議会だより　…「常任委員会に付託された請願の審査結果」より
  • 総務企画委員会は、「日立電鉄線の運行存続に対する県の支援に関する請願」を、平成17年第1回定例会（2/21〜3/18）にて継続審査とした。
• 2005/04/15　日立電鉄公式HP　…「第1回電車車両部品・鉄道用品などの物品販売の開催のご案内」より
  • ご案内を致しておりました電車車両部品・鉄道用品の物品販売について下記のとおり実施致します。
    今回は、車両5〜6両分の用品を準備いたしました。次回は、5月末〜6月上旬を予定しております。

    日時	平成17年4月30日（土）　10：00〜16：00
    場所	旧久慈浜駅構内
    販売品	・車内予備灯　・車内扇風機　・方向幕　・運転室正面カバー　・ワンマン灯　・つり革　・FINAL　RUN装着ヘッドマーク ・呑電ヘッドマーク　・ビア電ヘッドマーク　・各駅掲示運賃表　・時刻表など

  • 尚、会場につきましては、駐車場がありません。公共交通をご利用してのご来場をお願い致します。
• 2005/04/15　日立電鉄公式HP　…「日立電鉄線廃線に伴い『電車等鉄道施設』をお譲りいたします」より
  • 77年間のご利用ご愛顧に心から感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございました。
  • 鉄道施設一覧（直流600V）

    ・電車車両24両〔2000、2200形17両、3000形７両〕　・電気設備〔電路設備、変電所設備、電気機器設備等〕 ・運転保安設備〔信号保安設備、保安通信設備、踏切保安設備等〕　・まくら木〔木製、PC〕 ・軌道モーターカー　・車両牽引車(アント)　・列車無線設備　・リフティングジャッキ　・台車組立装置　・機械装置類 ・車両検査測定機器類　・工具類(保線用保守工具、電気用保守工具等)　・発電機　・ホームミラー　・バラスト等々

  • 譲渡価格はご相談に応じます、遠慮なくお声かけ下さい。
• 2005/04/09　産経新聞茨城版　…「【さよなら日立電鉄】（下)鉄路を支えた男たち」より
  • 72年に一度、東金砂神社（旧水府村）と西金砂神社（旧金砂郷町）の神輿（みこし）がそろって日立市・水木浜へ磯出する「金砂大祭礼」が行われた平成15年3月。沿線に往時のにぎわいが戻った。運行管理担当の川松留三さん（59）は「期間中の日立電鉄利用者は3万人にも上り、あまりの多さに鳥肌が立つ思いだった。祭典場に近い水木駅のホームは人であふれていた」と振り返る。日立市大和田町の呉服店経営、塙和弥さん（59）は「子供のころ、大甕（おおみか）駅が迷子になってしまうほど込んでいたのを思い出すほどのにぎわいだった」という。一瞬取り戻した過去の輝き。だが日立電鉄は平成16年1月、16年度末の廃線を決めた。理由は乗客減だ。昭和36年度のピーク時に年間717万人だった利用者が、平成15年度は160万人に激減した。
  • 廃線前最後の日曜日となった3月27日、日立電鉄は“乗り納め”のファンでごった返し、ほとんどの便が乗車率約200%の満員状態。電鉄では幹部以下全職員が出勤し対応に追われた。常北太田駅前では高校生や市民がおわかれイベントを開き、日立電鉄線の維持存続をもとめる高校生徒会連絡会の小室早紀子会長（17）からは「今後は復活させる会と名称を変え活動を続ける」との宣言も飛び出した。その様子を目の当たりにした川松さんは「この半分でもいつも乗ってくれていたら、なくなることはなかったのに」と残念そうにつぶやいた。
  • 今年1月1日午前5時14分、日立で震度４の地震が起きた。震度4以上だと、全線18.1キロを職員が歩いて点検し、異常なしと確認しなければ運転を開始できない。揺れを感じて飛び起きた技術グループ保線担当の古山重人さん（42）は、「すぐ線路へ向かい、日立市内の区間を1人で全部見て回った。元旦の始発に絶対間に合わせなければ−の一心で、最後は真冬なのに汗びっしょりでした」と振り返る。今冬は雪も多かった。電気関係を担当していた大部利広さん（41）は「ポイントに挟まった雪をほうきでかき出し、正常に動くか夜明け前から確認してまわった」という。架線に氷の塊がつけばパンタグラフ破損の原因になるため、真夜中に電車を走らせ氷が小さいうちにかき落とすことも。鉄道部長だった益子厚喜さん（52）は「雪が降ると全員家に帰らず作業にあたった」と話す。廃線を目前にしながら「何か災害が起きたらと思うと、自宅にいても出かけていても気が抜けない毎日」（益子さん）。そんな彼らを支えたのはただひとつ、「鉄路を守る」という鉄道マンとしての誇りだった。
  • 最終運行の3月31日夜。常北太田発の終電を運転した豊田拓伸さん（33）は終着の大甕駅に到着後、10才、9才、7才の息子三人から「パパ、おつかれさまでした」と記した折り紙のメダルを贈られた。豊田さんは顔をくしゃくしゃにしながら天を仰ぎ、「みなさん、ありがとうございました。どうか日立電鉄のことを忘れないでいてください」と声を振り絞った。
• 2005/04/07　産経新聞茨城版　…「【さよなら日立電鉄】（中）鉄路を支えた男たち／運行システム徹底合理化」より
  • ビア電に呑（どん）電と、さまざまなアイデアを繰り出す一方、日立電鉄では単線自動信号化（昭和41年）、列車集中制御方式採用（44年）、自動進路設定装置導入（45年）など運行システムの徹底的な合理化にも取り組んだ。46年には全国でも初めてとなるワンマン電車の運行を開始。また、単線鉄道の路線をいくつかの区間（閉塞（へいそく））に分け、1区間に1編成しか進入できないようにして上下線の衝突を防ぐシステムに、便数の少ない時間帯は複数の区間をまとめて1区間とみなし運行を容易にする併合閉塞も導入。安全と合理化を両立させた。そんな矢先、悪夢のようなできごとが起きた。
  • 58年2月20日午前11時53分、日立電鉄の終点、常北太田駅構内の停車車両に、鮎川発常北太田行き普通電車（1両編成ワンマン）が突っ込み、乗客14人が1−2週間のけがをした。前夜の深酒が抜けないまま運転席に座った運転士が起こした酒気帯び事故だった。「ちょうど昼ごろ、レール交換をしている最中だった。一報を受けて親方と現場に駆けつけると血の跡があって本当にびっくりした」。日立電鉄で20年以上技術畑を歩いてきた古山重人さん（42）は“そのとき”をはっきりと記憶している。「改めて責任の重い仕事だと感じた」。安全対策と合理化を推進してきた中での人災。日立電鉄77年の歴史で唯一の自責事故だ。関係者のショックは大きかった。「二度とあってはならない」。安全への強い思いが社員全員の心をしっかりとつないだ。
  • 小人数の地方鉄道ゆえに社員同士の絆も強い。「昔は通信線も裸線。風や台風でたびたび切れた。そんなときは保線とか車両とかの区別はない。さっきまでけんかしてたって全員が協力し、助け合って作業にあたった」徹底した合理化策が進められる中、鉄道マンたちがいかに結束していたかを同社OBの海老根正巳さん（63）は思い出す。安全な旅客輸送のために知恵を絞り、独自の創意工夫もこらした。「レールはね、油がのり過ぎていても危険。カーブの曲率がきついところだけ、油が薄く霧状に噴霧されるよう工夫した装置を作ってくれた人もいる」。祖父、父と親子三代で鉄道の運転士だった日立電鉄の元運転士、小吹勝利さん（59）はこう話す。「鉄道は駅から駅への足だけでなく、人の交流を結び沿線を一体化させる。鉄道マンはみんな、そんな誇りを持ってやってきたんだ」。培われた“鉄道マン魂”は、先輩から後輩へ脈々と受け継がれる。約30年にわたって運転士を務めた運行管理担当の川松留三さん（59）は新人時代の思い出を語る。「“一本（単独乗務）”になった最初の朝、緊張感でいっぱいだったけれど、ふと気づくと客席との仕切り窓から先輩が見守ってくれていた。先輩はそんな気遣いができる教師だった」。
• 2005/04/06　産経新聞茨城版　…「【さよなら日立電鉄】（上）『ビア電』風物詩に」より
  • 日立電鉄は昭和3年12月、日立市内の大甕（おおみか）駅から2.1キロ南の久慈（現久慈浜）駅まで、一駅だけの電車としてスタート。当時の名称は「常北電気鉄道」だった。翌4年7月には、洪水などの被害で工事が遅れていた久慈駅から太田町（現常陸太田市）の中心に位置する常北太田駅までの9.4キロも完成、県北の工都・日立と商都・太田が11.5キロの鉄路で結ばれた。敷設の目的は、かつて県北の商業や行政の中心だった太田の衰退を食い止めることだった。明治から大正にかけ県内の鉄道整備が進み、太田はローカル線の水戸鉄道太田線（現水郡線）終着駅になってしまっていたためだ。そこで、地元の有志や実業家が常北電鉄経由で太田を常磐線と結び、水戸やいわき、東京など大消費地の活気を呼び込もうと計画した。
  • ところが期待に反し、当時の利用者数は一日平均千人足らず。運賃収入も当初見込みの半分程度で、わずか3年で経営危機に。風水害も多く、15日間にわたって不通となることもあった。6−17年には不振の地方鉄道に交付される国庫補助金を15回も受けた。苦難の時代だった。16年には日立製作所傘下となり、19年に日立電鉄へと社名変更。以後は太田地区の労働力を日立へ輸送することや、その家族の日常の足へと鉄道の性格も変わった。このように、誕生から苦境に直面し、決して平坦（へいたん）でなかった日立電鉄の歴史を今日まで支えもり立ててきたのは「絶対に鉄路を守るんだ」という鉄道マンたちの思いだ。
  • 平成9年夏、当時、鉄道部副部長だった海老根正巳さん（63）が北陸に出張したとき、ローカル線の駅に提灯（ちょうちん）でにぎやかに飾られた車両が止まっているのを見かけた。ビール会社が車両を貸し切って、車内でビールを提供していた。海老根さんはピンとひらめいた。「これを日立電鉄で一般の人向けにやったらどうだろう。会社帰りに電車で一杯もいいじゃないか」。走る電車を丸ごとビアホールにしてしまう全国的にもユニークな「ビア電」のアイデアはこのとき生まれた。日立電鉄は昭和22年9月、大甕駅の北方6.6キロの鮎川駅まで延伸し、鮎川−常北太田間18.1キロを結ぶ現在の形になった。片道40分。大海原や山塊が眼前に迫ることもなく、車窓の風景はやや単調だ。しかし、この往復2時間足らずの時間は「軽く一杯」にちょうどいい距離でもある。慢性的な経営不振にあえぎ、常に打開策を求めていた同電鉄は、ビア電実現に向けて動き始めた。
  • 当時、鉄道部運輸課長だった小吹勝利さん（59）が一時、スーパー部門にいたときに食品衛生責任者の免許を取得していたことが幸いし、保健所の許可はなんとか下りた。「酔った乗客がホームから転落しないか、トイレのない車両で大丈夫なのか」。心配は尽きなかったが鉄道マンたちは工夫で乗り越え、ついに平成10年5月、ビア電第一号を走らせた。その様子は新聞やテレビで紹介され、全国から人が集まる大ヒット企画となった。「夏はビアホールがいいけれど、冬の宴会シーズンだってあるぞ」。アイデアはさらに膨らんでいき、ビア電はやがて冬場の宴会列車「呑（どん）電」も生み出した。ともに夏冬の日立の風物詩として定着し、収益改善にもつながっていった。
  • 77年にわたり地域の足として親しまれた日立電鉄が3月31日、その使命を終えた。毎日ひたすら安全かつ正確に電車を走らせることに情熱をそそぎ、鉄路を支えてきた男たちも、今月からは新たな人生を歩む。そんな鉄道マンの思いのあとをたどった。
• 2005/04/05　毎日新聞茨城版　…「写真展で日立電鉄線紹介−−常陸太田」より
  • 先月末に開業77年の歴史に幕を下ろした日立電鉄にかかわる写真を紹介した写真展「日立電鉄線」が、4日から常陸太田市西二町のブラザース・コザワ2階ギャラリーで始まった。4年前に結成した写団「風」（岩岡武治代表）が、1年半前から沿線風景や電鉄と生活などを四季折々にわたって撮影を続けてきた。会場にはカラー、白黒写真40点が展示されている。作品の中には、民家の近くを走る姿や雪景色の「ちん電」など哀愁を感じる光景も。会員4人の日立電鉄線の思い出文も合わせて紹介されている。15日まで。入場無料。
• 2005/04/02　読売新聞茨城版　…「ちん電代替バス　運行スタート」より
  • 廃線となった日立電鉄線沿線を走る代替バスが、1日から運行を開始した。路線は常北太田駅から大甕駅までのルートなど5路線。日立電鉄バス（松場卓爾社長）が平日に26便、土曜・休日に14便を走らせる。

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